作業服の選び方

行う作業の内容に合わせて選ぶ作業服

様々な種類がある作業服

身体の動きが大きかったり、衣服を汚すような作業や労働を行う際に着用される「作業服」。

実際に、職場などで作業服を着用して働いているという人も多いのではないでしょうか。ひとことで作業服といっても、そのスタイルはとても幅広いです。行う作業の内容や業種によって作業服のデザインや素材、加工などが変わってきます。そこでここでは、たくさんの種類がある作業服の選び方についてまとめておきます。

用途と機能の重視

普段着用する洋服を選ぶ場合には、デザインを重視して選ぶ人が多いかと思いますが、作業服を選ぶ場合には、まずは用途と機能を重視する必要があります。

そこで、作業服を選ぶ際にはどんな作業の時に使用するのかということをまず考えます。清掃員などは、衣服に汚れがつきやすいので、汚れにくかったり、汚れが落としやすいといった防汚機能のある素材を使った作業服が良いでしょうし、鉄工業などで火の粉が飛んでくるような場所で着用するなら、防炎性能がついた素材を使った作業服を選んだりします。

さらに、多くの業種では身体の動かしやすさや温度調節のしやすさなどもチェックしておきたいポイントです。身体の動かしやすさに関しては、ストレッチ性能が高い素材を使っている作業服などもありますし、身体が動かしやすいように適度なゆとりを持たせたデザインの作業服などもあります。また、暑さや寒さが厳しい現場で作業するような場合は、ファンやヒーターが内蔵されている作業服なども最近は人気が高いです。屋外で働く大工さんや、交通整理員の人などに愛用者が多いようです。

また、温度が一定の室内で着用する場合などは、作業服が制服のようになっている企業もあるでしょう。この場合、一年中同じ作業服を着用するケースが多いですが、そうでない場合には季節にあった機能をもった作業服を選ぶことをお勧めします。たとえば、汗をかきやすい夏場の作業服は、通気性や速乾性に優れたもの、冬は保温性能に優れたものを選ぶ…という具合です。

作業服選びで最も重要な3つの基準

作業服は単なる仕事着ではありません。それは作業効率と安全性を大きく左右する重要な装備です。特に建設現場や工場などの危険が伴う環境では、適切な作業服の選択が事故防止に直結します。

まず考慮すべきは「素材の耐久性」です。作業服は日々の激しい動きや摩擦に耐える必要があります。綿100%の生地は汗を吸収しやすい反面、耐久性に欠けることがあります。そこで近年注目されているのが、綿とポリエステルを最適な比率でブレンドした生地です。例えば、綿65%・ポリエステル35%の混紡素材は、綿の快適さとポリエステルの耐久性をバランスよく併せ持っています。

次に重視したいのが「動きやすさ」です。腕を上げる、しゃがむ、かがむなど、作業中の様々な動作に対応できる設計になっているかをチェックします。特に注目したいのは、脇下のマチや膝周りのストレッチ性です。最新の作業服には、立体裁断や伸縮素材を効果的に取り入れた製品が増えています。

3つ目は「機能性」です。作業環境に応じた適切な機能が備わっているかを確認します。例えば、夏場の屋外作業では通気性と紫外線対策が重要です。一方、寒冷地での作業では保温性が求められます。また、工具を収納できる実用的なポケットの配置も、作業効率を左右する重要なポイントとなります。

業種別・作業環境別の選び方ガイド

建設業では、高所作業や重機の使用が多いため、視認性の高い反射材付きの作業服が推奨されます。特に夜間工事では、周囲からの視認性が安全確保の生命線となります。また、コンクリートや морタルなどの建築資材による汚れに強い撥水加工も重要な要素です。

製造業の場合、機械への巻き込み防止が最優先事項です。そのため、だぶつきの少ないスリムフィットタイプが適しています。ただし、締め付けが強すぎると作業効率が低下するため、適度なゆとりは確保する必要があります。また、静電気対策が施された素材を選ぶことで、精密機器への影響を最小限に抑えることができます。

農作業向けには、泥や草汁による汚れに強い防汚加工が施された作業服がおすすめです。さらに、長時間の屋外作業に対応するため、吸汗速乾性と紫外線カット機能を備えた素材選びが重要です。膝当て付きの商品は、畑仕事での膝への負担を軽減できます。

メンテナンスと長持ちさせるコツ

作業服を長く使用するためには、適切なケアが欠かせません。まず、洗濯時は必ず色物と白物を分けて洗います。特に新品の作業服は色落ちしやすいため、単独で洗濯することをお勧めします。また、強い日差しによる色褪せを防ぐため、干す際は日陰を選びましょう。

補修については、早めの対応が寿命を延ばすコツです。例えば、ポケットの縫い目がほつれ始めたら、すぐに補強することで破れの進行を防げます。また、膝や肘など、特に摩擦の多い部分は、あらかじめ補強布を当てておくことで耐久性を高められます。

保管方法も重要です。作業服は汗を多く含むため、そのまま放置すると臭いの原因となります。使用後は十分に乾燥させ、折りたたんで収納します。この際、重ねすぎは避け、適度な間隔を空けることで、通気性を確保しましょう。これらの基本的なケアを継続することで、作業服の機能性と見た目を長く保つことができます。